社会保険の加入義務等~建設業フォローアップ相談ダイヤルから
社会保険加入対策に関して~建設業フォローアップ相談ダイヤルへの相談内容・回答から
国土交通省では、平成27年3月より「建設業フォローアップ相談ダイヤル」を開設し、発注者には言いにくいことや、公共工事の施工現場で事業者が直面する困難な実態などについて、様々な立場の事業者からの相談を受付けています。
「建設業フォローアップ相談ダイヤル」
0570-004976
E-mail:hqt-kensetsugyo110@ml.mlit.go.jp
この相談ダイヤルに寄せられた相談・回答について、平成29年4~6月分の受付状況が発表されました。受付件数は182件(前年同期48件)と件数が急増しており、その内、社会保険加入対策についての相談が全体の8割(146件)となっています。
この相談ダイヤルへの相談内容への回答が、建設業現場よりの相談に端的に答えている部分がありますので、いくつかご紹介させていただきます。(→は国土交通省の一般的な考え方を示したものになります。)
質問(相談ダイヤル受付状況 平成28年7~9月分より)
「上請業者に法定福利費を内訳明示した見積書を提出したところ、金額交渉の場で、材料費等でほぼ同額の値引きをするように言われた。」
→ 下請負人の見積書に法令福利費相当額が明示され又は含まれているにもかかわらず、元請負人がこれを尊重せず、法定福利費相当額を一方的に削減したり、労務費そのものや請負金額を構成する他の費用(材料費、労務費、その他経費など)で減額調整を行うなど、実質的に法定福利費相当額を賄うことができない金額で建設工事の請負契約を締結し、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合には、建設業法第19条の3に違反するおそれがある(「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」より)
質問(相談ダイヤル受付状況 平成28年10~3月分より)
従業員2名の個人事業主を下請先にしようと検討している。契約を締結する前に、従業員については社会保険に入れようと思っているが、個人事業主についても労災保険に入れる必要があるのか。
→ 国土交通省の進める社会保険未加入対策では、従業員4名以下の個人事業所については、従業員が雇用保険、国民健康保険、国民年金に加入していれば適切な保険に加入していることとしており、労災保険は対象としていない。
質問(相談ダイヤル受付状況 平成28年10~3月分より)
協会けんぽ、厚生年金に加入していないと現場入場できなくなるのか。
→ 雇用保険、健康保険、厚生年金保険の加入義務は、事業所の形態や従業員数に応じて定められており、例えば従業員4人以下の個人事業所については、関係法令上は健康保険と厚生年金保険の加入義務はなく、 「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」上も協会けんぽや厚生年金保険に加入することまでは求めていない。
質問(相談ダイヤル受付状況 平成28年10~3月分より)
・ 施工体制台帳に「適用除外」と記載されている業者は、現場に入ることができないのか。この業者は個人事業主時代に建設国保に加入しており、健康保険の適用除外承認を受けている。雇用保険と厚生年金保険にも加入しているのだが。
→ 「適用除外」と「未加入」は明確に区別しており、健康保険の適用を受けない者を「適用除外」としている。「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」上、健康保険の適用除外承認を受けて建設国保に加入している場合は、適切な保険に加入しているものとして扱われるところであり、現場入場制限の対象とならない。
質問(相談ダイヤル受付状況 平成29年4~6月分より)
社会保険の加入義務があるのに加入していない会社を下請として使ったら、何かペナルティはあるのか。
→ 国土交通省直轄工事においては、未加入の一次下請と請負契約を締結した元請に対してペナルティが実施されているところ。本年(平成29年)10月からは二次以下の未加入業者についても、期間内に加入確認書類が提出されなかった場合は元請に対してペナルティが実施される予定。
質問(相談ダイヤル受付状況 平成29年4~6月分より)
元請から「個人事業主(一人親方)についても社会保険に加入しないと現場へ入場させない」と言われているが、個人事業主についても社会保険への加入義務は発生するのか。
→ 社会保険への加入義務については、個人事業主の場合は適用除外であるため、国民健康保険・国民年金へ加入することとなる。なお、一人親方といっても、「労働者」に該当するか「事業者」に該当するかは、労働の実態によって判断される。(一人親方の判断事例集:http://www.mlit.go.jp/common/001002165.pdf)
相談ダイヤルへの相談内容詳細については、こちらをご参考ください。
リンク先
建設業フォローアップ相談ダイヤル受付状況について